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トップページ フォーラム EAT(上咽頭擦過療法) 首こり/肩こりに対するEATのコツ

  • このトピックには3件の返信、2人の参加者があり、最後に岡下 和也mitejinにより2020年10月11日に更新されました。
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  • #55
    jfir事務局
    キーマスター

      慢性上咽頭炎に由来する肩こり首こりは非常に頻度が高くみられる。しかし「肩こりの治療を目的にEATを受けたい」という患者はほとんどいない。参考に当院(田中耳鼻咽喉科)での具体的な方法を挙げる。例えば、IgA腎症の治療目的にEATを希望して初診で来院した患者がいると仮定する。診察時には耳鼻科用の患者椅子に座ってもらい術者は立位で内視鏡下EAT(Endoscopic EAT)を行う準備をする。患者に「今から内視鏡で上咽頭を観察します。もし上咽頭炎があれば、その場で治療に移ります。多少は痛みますが長引くものではないので安心してください。」と告げ、さらに「では首を右に回旋してみてください。次に左に回旋してみてください。それから首を後屈させてください。最後に天井の光を2-3秒見つめてください。」と告げてから内視鏡検査・治療に入る。
      EAT治療が終了したあと、患者に再度首を回旋してもらう。多くの患者では首の回旋のしやすさを実感し、特に首の後屈が行いやすくなったことに直後から気付く。EATが効果を発揮する疾患や病態は数多いが、首こりや肩こりはEATによって即効性を期待できる症状の一つであるため上述のような手順で患者にEATの効果をまず実感してもらえれば、個人差はあるものの痛みを伴う治療であるEATに対して患者の理解や治療継続に対してのモチベーションアップにもつながる。
      たいていの患者は肩こりや首こりを、パソコンの長時間使用などが原因だと考えていて、半ばあきらめ半ば受け入れていることがほとんどである。もちろんストレートネックなど整形外科的な器質的疾患が原因になっている場合もあるが、EATによって首こりや肩こりが初めて改善した経験をすると患者に非常に喜んでもらえると医療者としてもとてもありがたく感じる。ちなみに筆者自身は肩こりや首こりがおこると経鼻法で上咽頭後壁を綿棒でとんとんと小突くように擦過する。痛みのポイントを探るためには刷毛や筆のように塗布するように動かすよりも小突くような綿棒の動きが適している。そして上咽頭後壁から側壁にかけての擦過では患者自身が「痛いのはそこです!」と圧痛点を感じてもその2mm隣のポイントでは痛みを感じない、ということもまれではない。一般に上咽頭を擦過した際の出血量は炎症の程度と比例することは堀口先生の膨大な研究から明らかにされている。しかし首こりや肩こりの原因ポイント(いわゆるツボのようなイメージ)や圧痛点に行き当たってもその部位で必ずしも出血を伴わない場合があることは知っておくべき事柄だと思われる。
       
      田中亜矢樹

      #324
      岡下 和也mitejin
      参加者

        先日、「鼻うがい容器いろいろ」のトピックスで、貴重なアドバイスをいただいた者です。後鼻漏、首痛、偏頭痛とゲップの詰まりの症状で、耳鼻咽喉科に通院しています。

        初歩的な質問になりますが、Bスポット療法とEATの名称だけを比較すると、何となく違う治療を連想してしまうのですが、同じものと考えてよいのでしょうか。医療機関でどのように伝えればよいか、困っています。

        ご高齢の院長先生から、クロールチンクを塗布して患部のツボを押すような手技をする治療を昔ながらのBスポット療法だと説明を受けました。
        ただ、副院長先生からは、同じ薬で患部を擦る治療が新しいBスポット療法だと説明を受けました。

        医学のメカニズムはわかりませんが、双方の治療法にそれぞれの長所がありました。ツボ押しで首痛と偏頭痛、擦過でゲップの詰まりが軽減しました。後鼻漏はどちらでも軽減しましたが、治療後の感覚は互いに違いました。

        広場の使い方がわからず、比較的イメージの近い既存の書き込みのあったこちらに投稿しました。よろしくお願いします。

        #325
        堀田 修堀田 修
        参加者

          結論から言うと「Bスポット療法」と「EAT」は同じ治療(上咽頭擦過療法)です。
          また「鼻咽腔」と「上咽頭」も同じ部位になります。
          以下に補足説明をします。
          Bスポット療法のBは「鼻咽腔(びいんくう)」の「び」に由来します。
          ちなみにこのBスポットという名前は、この治療の創始者である堀口申作先生が大学教授退官後に一般向けに本を出されたのですが、その際、出版社(光文社)の担当の方がこの名前を提案されたと聞いております。
          現在は、情報の国際化が進み、海外からも上咽頭擦過療法についての問い合わせが来てそれに応える必要があります。また英語論文を外国医学雑誌に投稿する際はやはり上咽頭擦過療法の英語訳であるEpipharyngeal Abrasive Therapyの略であるEATが用いられています。
          塩化亜鉛溶液を用いるのは堀口先生の原法で、透明な液なので慢性上咽頭炎がある時に認める擦過時の綿棒についた出血の程度がわかりやすいです。しかし、堀口先生の当時の論文を読むと薬液は塩化亜鉛溶液に固執してはおられなかったようです。
          今後は塩化亜鉛溶液よりも優れたEATの薬液が登場するかも知れません。
          いずれにせよ、綿棒で上咽頭をしっかりと擦ることがEATでは重要というのがEATを臨床に取り入れている医師の共通認識だと思います。

          #326
          岡下 和也mitejin
          参加者

            ご返信ありがとうございます。
            創始者の先生も、上咽頭を擦過されていたのですね。
            直接の患部の炎症を抑えるだけでなく、自律神経の乱れからくるゲップの詰まりにも効果がある治療なので、患者からすると、医学の知識がないからだけかもしれませんが、すごいことだと思います。
            首こりや肩こりでなどの上咽頭と離れた場所にも効果があることのメカニズムが広く周知されると助かります。

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