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トップページ フォーラム 扁桃病巣疾患関連 扁桃炎に伴う反応性関節炎

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    吉田 律樹JFIR 事務局
    キーマスター

      一般の方は「関節炎=リウマチ(RA)」と考えやすいが、実際には、関節炎は、星の数ほどの原因・病態・疾患があり、多くの疾患を詳細に検討・鑑別し、道筋を付けた適切な治療によって、良い状態に導くことが出来る。

      扁桃炎に伴う反応性関節炎は、外国では「レンサ球菌感染後の反応性関節炎(poststreptococcal reactive arthritis:PSRA)」と言われる。私どもの経験では、1)レンサ球菌が同定・検出出来ない症例も約40%存在する。2)埋没扁桃が多い。3)抗生剤治療が無効の場合、扁桃に存在する微小膿瘍を扁桃摘出にて、完治する(Otolaryngol,1996; 523: 206-211,口咽科 25 (1);47 -51, 2012)。このため「扁桃炎に伴う反応性関節炎」と提唱している。

      古くは七川歓次らが「亜急性関節リウマチ」として報告した特徴を持つ(臨整外 1967;2:907-914)。これは、1)男女比=1:2,20-30歳に多い。2)感染症、特に扁桃炎の消退期に関節炎が現れる。3)多発関節炎であって、数週から2年間持続する。4)少数関節炎であって、膝、足に多い。肘、手首は少ない。5)関節外罹患は無い。心臓はおかされない。6)Waalar-Rose試験、RA試験は陰性である。ASLOは上昇していることがあるが、経過の途中で陰性化する。5)X線変化はない。

      重要なことは、リウマトイド因子陰性(RF)の関節炎の診断・治療には本症を必ず考慮する必要がある。最近経験した患者さんは、症例1:高熱・咽頭痛・関節炎で大学病院の耳鼻科・整形外科に緊急入院した。診断が解らず、患者が私の総説を自ら調べて医師に提出したが、「教科書にない疾患は解らない」と言われたため来院した。扁摘にて完治した。症例2:下肢の関節炎のため大学病院のリウマチ内科にて「RF陰性のRA」と診断されてメトトレキサートの治療を受けたが、全く改善しなかった。扁桃炎の既往は元々ある。PET/CTにて扁桃の集積があり、本症と診断されて来院。扁摘予定。症例3:顔のニキビが有り、扁桃炎を繰り返す。足の関節炎にて来院。近医では脊椎関節炎の診断で生物学的製剤治療を勧められた。扁摘目的に総合病院の耳鼻科を受診したが、「取っても治るとは限らないよ」と否定的な意見で、がっかりして私の外来に来院した。

      リウマチ医は勉強不足・耳鼻科はアウトカムを知らず、扁摘による成功体験を知らないことが原因である。希な疾患ではあるが的確に診断された症例は、扁摘にて、薬剤治療が不要になり完治するため、意義を広く知る必要がある。

       

      小林茂人

       

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