歯周組織の健康や歯周病と全身の健康,全身疾患との相互関係を確立するための分野として,「Periodontal Medicine」(Offenbacher,1996年)が提唱された.すなわち,全身疾患が歯周組織の健康や歯周病に影響を及ぼすという従来からの概念はもちろんのこと,逆に,歯周病が,全身の健康状態に強い影響を与えているという,2方向性(双方向性)の意味合いをもつ.現在,歯周病と冠動脈疾患,呼吸器疾患,糖尿病,妊娠にまつわる問題(早産・低出生体重児),骨粗鬆症,リウマチ等との関連が報告されてきている.さらに,糖尿病では,歯周病治療の介入が,糖尿病のコントロール状態を改善する可能性,冠動脈疾患,呼吸器疾患,早産・低出生体重児およびリウマチでは,歯周病治療の介入が,その疾患のリスクを抑えることにつながる可能性も報告されてきている.
稲垣幸司