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2020年9月1日 #41
IgA腎症は慢性糸球体腎炎の中で最も多い、かつては透析が必要な末期慢性腎不全の原因としても重要な疾患でした。扁摘パルスの普及などにより腎症が進行して透析医療が必要となる患者さんは過去20年間でかなり減少しました。
しかしながら、扁摘とパルスの適応に関しては今なおかなりの施設間格差があると感じております。その原因としては「扁摘パルス」の作用点に関する理解の曖昧さが関連しているように思えます。扁摘パルスはIgA腎症の糸球体血管炎を消すことを目的とした治療です。それ故、扁摘パルスが有効なのは糸球体血管炎がある症例、つまり血尿がある症例に限ります。
「軽症だからまだ扁摘パルスをする必要はないと説明された」
「扁摘パルスをするにはもう手遅れと説明された」
など医師の説明に納得できずにセカンドピニオンを求める患者さんは全国には少なくありません。
寛解を目指すのであれば軽症でも扁摘パルスを実施する価値がありますし、軽症で早期のIgA腎症ではパルスの後療法の期間も短縮~省略することが多くの場合で可能です。また、腎機能の低下があっても血尿が強い症例であればまだ糸球体血管そのものが進行因子として関与していますから扁摘パルスで進行を遅らせる可能性は残されています。一方で扁摘パルスのデメリットも考慮に入れながら総合的に考えていく必要があります。
セカンドオピニオンで受診した患者さんの話を聞いてしばしば感じることは医療の最終受益者である患者さんの「幸福度」が蔑ろにされていることが少なくないことです。特に出産、結婚などを控えた若いIgA腎症の患者さんにとって疾患から解放される意義は大きいのですが、診療ガイドライン一辺倒の対応で患者さんは医師が患者さんの気持ちに共感してもらっていないと感じていることがあるようです。
扁摘パルスをしても血尿が残存する症例に対する上咽頭擦過療法(EAT)の併用や、扁摘パルスで実際に生じた問題点も含め、IgA腎症診療における問題点について多面的に広く意見交換が出来ればと思います。
堀田 修
2020年9月15日 #243堀田先生お世話になります。
平成 28 年 11 月から平成 29 年 10 月までの 1 年間で、IgA 腎症の診断で上咽頭擦過治療を希望し当院を受診した 症例は21 例います。そのうちA.扁摘+パルスを行っても尿潜血が軽快しなかった 4 例、およびB.扁摘パルスで一旦寛解するも、その後尿潜血が再燃した 2 症例の合計 6 例で臨床的に検討しました。口腔咽頭2016年の堀田先生の論文「内科疾患における上咽頭処置の重要性: 今,またブレイクスルーの予感」の図5で堀田先生はA.19例、B.5例の計24例で83%尿鮮血消失したと述べられています。
当院の結果は、上記6例中3例で尿鮮血消失、1例軽快、2例不変です。上咽頭擦過治療の前後で 尿潜血のみ統計学的に有意に軽快しました。
個人的にもAとBはEATの良い適応と勝手に考えています。
今回検討した症例数は確かに少ないですが(n=6)、耳鼻咽喉科クリニックに年間20名のIgA腎症患者が受診するのはレアと思います(田中亜矢樹先生のクリニックは別として)軽快した理由がEATの治療効果と言いたいところですが、
腎臓内科の領域で、上記AおよびBを無治療で経過観察した場合、自然寛解はどれくらい見込めるのでしょうか?EATをしなくてもそういった症例は時間が経つと軽快するんだよ!と腎臓内科医に言われると反論できません。2020年9月15日 #245茂木立先生お久しぶりです。元気ですか?
IgA腎症は患者を一人ひとりみると一般的には発症早期が最も血尿の程度が強くて、経過が長くなると少しずつ血尿の程度は弱まります。しかし、透析に導入するような段階でも軽度の血尿が残っているのが通常です。
早期で軽症のIgA腎症の場合3割くらいが自然寛解するという昔の報告はあります。ご意見を伺いたいものです。
いずれにせよ対照群の臨床検討がこれまでないのでで色々いわれるのは現状ではしょうがないと私は割り切ってEATしています。2020年9月16日 #252茂木立先生いつもお世話になっております。
確かに自然寛解するケースは僕も少なからず経験しますが、何年も血尿が消失しなかったのに、EATを開始したら数か月で消失したケースをそれ以上に経験します。血尿が残っている限り、再び蛋白尿が上昇してくることも多々あります。EATを行うことにより血尿が消失する可能性が少なからずあることから、僕はAおよびBのケースでは患者さんにEATを勧めています。完全寛解しないままで経過を観察される患者さんの不安を考えると、出来る限りのことをしたいと考えますよね。完全寛解が得られた時の患者さんの表情を見ると、やはり「幸福度」は医師にとって重要なoutcomeであると思います。2020年9月18日 #258堀田先生、茂木立先生、金子先生。こんにちは!
当院に一度でもIgA腎症治療を目的に来院された患者さんは、400例前後だと思います。平成28年の日本口腔・咽頭科学会での一般演題で、EATがIgA腎症に著効した一例を報告しました。IgA腎症と診断されてから1か月で当科来院し、4か月のEATで寛解し、扁摘パルス目的に入院した時点ですでに血尿消退していました。その病院の腎臓内科から堀田先生に相談があり、「パルスは不要だが扁桃摘出は行うべき」とのことで、結局扁摘を行いパルスは行いませんでした。EATのIgA腎症における有用性を統計学的に証明することは、IgA腎症のもともとの罹病期間や重症度など変数が多く、IgA腎症の病期や病状を評価できる腎臓内科医以外には難しいように感じています。
私自身は現時点でのIgA腎症におけるEATの位置づけは、
・血尿消退を目標とする
・標準的治療(扁桃摘出術+ステロイドパルスなど)を受ける前にも行いうる治療である
・標準的治療を受けてもなお寛解しない場合にも行いうる治療である
・何らかの理由(全身麻酔を行えない呼吸器疾患があるなど)で扁摘が行えない場合にも施行できる治療である
という考えです。
その点、先生方のご意見はいかがでしょうか?2020年9月18日 #259堀田先生
お返事ありがとうございます。
もう少し症例を増やして検討しようと思います。
今後ともよろしくお願い致します。金子先生
いつもありがとうございます。
今回の件は金子先生もご存じかと思われますが公の場ですのでこういった形の質問にさせて頂きました。
今後ともよろしくお願い致します。田中亜矢樹先生
いつもお世話になっております。
昨年の日耳鼻で発表しましたが、症例数が少ないという面はありますが、EAT単独例はいい成績が個人的には得られず
そのため、本意ではないですが「耳鼻咽喉科医が単独でIgA腎症患者を診察すべきでない!?」という形で締めくくりました。
EATのみで軽快してほしい気持ちは強いですが、エビデンスがないという点もありますが、症例を選ばないといけないのかな!?と時々迷いが出てしまい、堀田先生に質問させて頂いた次第です。
今後ともよろしくお願い致します。 -
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