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2021年10月6日 #423
突然の投稿失礼致します。
この度、投稿させて頂いたのは私の7歳になる息子の病気についてです。
といいますのも昨年の末に若年性皮膚筋炎との診断を受け、現在近隣の大学病院にて治療中でありますが、その息子が病気になるかなり前から口臭がありました。当時は歯磨きやマウスウォッシュ等色々と試してみてはいたもの、中々口臭が改善されず日々の忙しさから治療にまではいたらず、突然、病気を発症することとなりました。その後、この口臭が何か病気と関係しているのではないかと思い、退院と同時にオーラルケアを開始し、歯周病菌の検査を受けることとなりました。その結果、フソバクテリウムヌクレアタムという細菌が異常繁殖していることが分かり、歯周内科治療、3DS除菌といったオーラルケアを実施、現在は細菌数も激減、投薬治療は継続してはいますが炎症値は改善したままをキープしております。
しかしながら、我々家族としては不可能であっても原因を見つけ出し、副作用の強い薬を断薬したいと思っております。
素人ながらにこのフソバクテリウムヌクレアタムという細菌を調べてみたところ細菌の感染により、口腔内で大量に増殖することでINF-α、IFN-γ、IL-1β、IL-6、IL-8、LL-37、マクロファージ遊走阻止因子等の多様な炎症性サイトカインが生産されることが分かりました。(第22回エンドトキシン・自然免疫研究会 歯周病関連細菌による好中球からのneutrophil extracellulartraps 生産を介した炎症反応の誘導より) そこで、このフソバクテリウムヌクレアタムという細菌が若年性皮膚筋炎に関連しているかどうか、また、今後のオーラルケア等、何かアドバイスを頂けないでしょうか?
息子は病気になる以前はサッカーをしており、将来はサッカー選手になりたいと言っていました。今尚、その夢は諦めていません。私も親として病気で諦めてしまったということにはしたくありません。不可能であっても何とか原因を見つけ出し、断薬を実現し、また息子が元気にサッカーをして夢を目指せるように手助けしてあげたいという思いから投稿させて頂いております。
どうかお力をかしていただけないでしょうか?よろしくお願いします。
2021年10月10日 #424私は若年性皮膚筋炎の症例を診療したことがありませんのでコメントを差し控えておりましたがレスポンスされる方がおられないのでコメントさせて頂きます。
私が調べた限りでは「Fusobacterium」 と「若年性皮膚筋炎」のキーワードでヒットする論文が見当たりませんでした。しかし、「論文がない=関係がない」というわけではありません。
1.Fusobacteriumは細菌の中でも特に大型の細菌で歯垢形成に関与しているようです。
2.Fusobacteriumの病原性は低病原性歯周病菌群の一つで単独ではあまり悪いことをしませんが、高病原性歯周病菌のP. gingivalisと一緒になってバイオフィルムを形成すると潰瘍形成などを引き起こすようです。
3.潰瘍ができると体内侵入する場合もあり、胎盤を破って流産、死産の原因にもなる菌で深部にまで入り込む性質があるようです。
4.大腸がんでは腫瘍細胞と一緒にFusobacterium塊状になって検出される場合が多いようで多数の論文が報告されています。また、口腔内に存在するFusobacteriumが大腸がんへ移行している可能性を報告されています。また、口腔内細菌叢は腸内細菌叢に影響を及ぼしますので口腔内のFusobacteriumが腸内細菌叢の乱れを介して自己免疫疾患の発症に関与している可能性はありえるかと推察します。ここからは私の私見です。Fusobacteriumは低病原性歯周病菌群の一つで中学生の頃にこの群は形成されるとされておりますから7歳は早すぎるかも知れません。Fusobacteriumが多いからそれを退治しようという発想が出てくるのは当然ですが、別の見方が必要かも知れません。例えばIgA腎症は口呼吸が関与している代表的な疾患ですがIgA腎症の患者さんでは口腔内細菌数と種類が健常人よりも減っていることが報告されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsme2/36/2/36_ME21006/_article
つまり、治療介入という点では特定の細菌を減らすことよりも多様な細菌が共生する口腔内環境を作ることが重要のように思えます。口呼吸の習慣を是正することはその一つと考えます。
以上、長野さんの期待に応えるような回答ではないですが参考になれば幸いです。2022年2月17日 #429堀田先生、コメントを頂いておりましたのに返信もせず申し訳ございませんでした。
結局、息子は風邪をひいたことをきっかけに若年性皮膚筋炎を再熱してしまい、私自身自暴自棄におちいり、全く当広場を利用しておりませんでした。本当に貴重なご意見を頂きありがとうございました。また、息子が再熱したことで先生がおっしゃられていた口呼吸、上咽頭、扁桃に病巣があるのではないかと耳鼻科を受診したところ、かなりのアデノイド肥大、及び口呼吸であることがわかりました。現在はステロイドは増量となっていますが毎日の鼻うがい、ミサトールリノローションによる上咽頭洗浄をセルフケアとして行っています。また鼻うがいにはオゾン水を使用しバイオフィルムの除去に努めています。
本当に貴重なご意見ありがとうございました。2023年2月15日 #462長野智弘様。
投稿ありがとうございました。JFIR理事の田中耳鼻咽喉科の田中亜矢樹と申します。
フゾバクテリウム属、特にフゾバクテリウム・ネクロフォーラムはKiller sore throat(致死的な咽頭痛)と呼ばれるレミエール症候群を引き起こすことが知られています。
息子さんの場合、フソバクテリウム・ヌクレアタムが歯科領域で検出されたとのことですが、そもそもがフゾバクテリウム属は嫌気性菌ですので、通常の好気性環境で細菌培養検査の検体を採取しても嫌気性培養を行なわない限りフゾバクテリウム属の検出は一般の外来(耳鼻咽喉科領域でも歯科領域でも)では検出は困難ではないかと思います。
私の専門である耳鼻咽喉科領域では口蓋扁桃に留まる普通の急性口蓋扁桃炎では好気性環境(好気性培養)でフゾバクテリウム属が検出されることはほとんどありません。ただ急性口蓋扁桃炎から扁桃周囲膿瘍に発展した場合には、膿瘍を注射針で穿刺して嫌気培養をおこなうとフゾバクテリウム・ネクロフォーラムを検出することは時にあり得ることです。
以下リンクを貼ります。
このサイトには国立国際医療センターの早川佳代子先生の報告です。
論旨を要約すると、口蓋扁桃炎におけるフゾバクテリウム・ネクロフォーラムの関与はこの検討では溶連菌並みの10%程度に認められ、従来の報告よりも過小評価されている可能性があり得ると思います。
私見では繰り返しになりますが、嫌気培養を必要とするために実臨床では検出率が低く過小評価されているのかもしれないと考えます。
扁桃処置など口蓋扁桃の陰窩(腺窩、との古くはいいます)を咽頭捲綿子で圧迫して排膿することでいわゆる「臭い玉」を排膿することは多くあります。これも私見ですが、嫌気性菌感染は好気性菌よりも一般に「くさい(臭い)」ので、想像ではありますが、息子さんの場合には証明は困難ではあるものの口蓋扁桃にフゾバクテリウム・ネクロフォーラムやソバクテリウム・ヌクレアタムなどが潜在的に持続感染を起こしている可能性もあり得るのではないかと考えます。
なにがしかのお役に立てる情報であれば幸いです。 -
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