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    吉田 律樹JFIR 事務局
    キーマスター

     

     

    歯原病は歯周病(歯槽膿漏)とよく間違えられますが、全く異なるものです。

    次に歯原病と歯周病との比較を表にして示します。

     

    歯原病と歯周病との比較

     

     

    【歯原病の歴史】

    ◆1923年

    アメリカのウェストン・A・プライス(1870~1948)が「DENTAL INFECTIONS」全2巻を出版しま

    した。これは、アメリカ歯科医師会の援護のもと、医師、歯科医師、科学者たち約60名が25年間にわ

    たり研究に取り組み、膨大な患者の診察と4000羽を超えるウサギを使った動物実験のデータを、1178頁

    にわたる2冊の本にまとめたものです。失活歯が引き起こす全身の病気を、極めて科学的に証明してい

    ます。歯科医学の歴史において金字塔ともいうべき業績です。

    しかし、内容がアメリカ歯科医師会の意向にそぐわなかったため、完全に無視されました。

    ◆1993年

    A.A.E(アメリカ歯内療法学会 1943年)の創立メンバー19人の1人であるジョージ・E・マイニ

    ー(1915~2008)が「DENTAL INFECTIONS」の抄録本「ROOT CANAL COVER-UP」を出版しました。

    ◆2008年

    「ROOT CANAL COVER-UP」の日本語訳「虫歯から始まる全身の病気」〔片山恒夫(1910~2006)監修 恒志会訳〕が出版されました。ここで、歯原病(DENTAL INFECTIONS)という言葉が、日本において初めて提示されました。

    このような経緯で、「歯原病」は歯科医学の中で長い期間隠蔽されてきましたが、近年、少しずつ認知されてきています。

     

    【メカニズム】

    神経を抜いた歯の象牙質の中には、ほぼ100%細菌が存在する。理由として次の3つが挙げられる。

    1.歯髄(歯の神経)の残存

    歯髄は網の目のように複雑に走行していて、全ての歯髄を除去することは不可能である。

    主要な神経しか除去できないし、側枝は除去できない。残存した歯髄は壊死、腐敗して細菌の発生の温床となりやすい。

     

    2.象牙細管の構造

    象牙質は象牙細管の集合体である。象牙細管は直径0.8~2.2㎛の細いチューブのようなものであり、単根歯1本の象牙細管を全てつなぐと約4.8㎞になる。

    象牙細管は細長く薬剤が浸透しにくい。

     

    3.象牙細管の中を滅菌する方法はない。

    プライス博士→「未来の研究者に託す」

    マイニー博士→「未来の研究者に託す。しかし、できても臨床では不可能ではないのか?」

    ・一般的には水酸化カルシウムが使われているが、滅菌はできない。

    ・その他の薬剤も滅菌はできない。

    ・3Mix-MP法はin vitroでは滅菌できる。故にin vivoでは滅菌できる可能性は充分にある。

     

    【3Mix-MP法について】

    ◆1987年 新潟大学の星野悦郎教授が、3種類の抗生剤を用いることで口腔内の全ての細菌を完

    全に滅菌できると発表(3Mix)

    ◆1998年 開業歯科医の宅重豊彦先生が、この薬剤の臨床応用法を開発し、3Mix-MP法として

    発表。

     

    〈2つの主な効能〉

    1.虫歯の自然治癒

    2.象牙細管の中の細菌を滅菌

    プロピレングリコールの作用により、24時間で象牙細管のすみずみまで薬剤が浸透して細菌を滅菌さ

    せることができる(in vitroでは)

    【治療方法】

    象牙細管内の細菌を滅菌できる方法は無く、失活歯の抜歯しかなかったので、歯原病の治療は患者の理

    解を得ることが困難であり、現実的にはできませんでした。

    ところが、可能性として3Mix-MP法を極めて精密に用いれば、抜歯することなく歯を残して治療でき

    るようになりました。

    但し、in vivoで結果を出していくことは施術において非常に難しいことです。

     

    【今後の課題】

    失活歯の象牙細管を滅菌することと、その後の唾液による再感染を防ぐことは非常に難しいことです。

    A.A.E.の創立メンバーの1人であるジョージ・E・マイニーが「象牙細管の中を滅菌する方法は、未来の

    研究者に託す。しかし、できても臨床では不可能ではなのいか?」との言葉は重いものです。

    歯原病は抜髄処置(歯の神経を抜く治療のこと)の副作用であります。それにもかかわらず具体的には、

    日本において2017年6月の1ケ月間に約60万本の歯の神経が抜かれています(厚生労働省発表)。

    プライス博士によると75%が歯原病を発症すると考えられているので、単純計算すると1年間で540万

    本、10年間で5400万本という莫大な数になる。これから類推すると潜在的に歯原病を持っている人は

    膨大な数にのぼります。

    「歯の神経は抜いてはいけない」との考えが一般常識になれば「健康長寿の獲得」と「毎年1兆円ずつ増

    大する社会保障費の減少」につながっていくものと思われます。

     

    中島龍市

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