口腔機能発達不全症が問題となっています。これは小児の食べる、しゃべる、話すなどの機能が十分に育っていないことによるもので、咀嚼や嚥下がうまくできない、発音・構音の異常、口呼吸などが見られます。軟らかい食事が多くなったり、大きな声を出したり、激しく動き回って遊ぶ場所が少なくなったりしていることも要因の一つですが、子どもは与えられた環境によって成長していくものですから、現代生活における負の側面と言えるかも知れません。
保育・幼稚園や小学校でも口をポカンと開けた状態の子ども達を多く見ます。観察していると8割以上の子ども達がふとしたときに口を開けているクラスにも出会うことがあります。
そこで「あいうべ体操」を簡易な口腔機能訓練法として取り入れる学校、施設が全国に増えました。ここではあいうべ体操の利点とその効果について伝えます。
あいうべ体操の利点
道具を使わない、子どもでも簡単にできる・伝えられる、時間がかからない、時間に縛られない、一斉にできる、費用がかからないなどが挙げられるでしょう。数十人のクラスであっても、その場で一斉に始めることができますし、10回行うにしても1分ほどしかかかりません。道具が要らないため、思い出したときその場で行うことができます。
難しい動作を含まず、大きく動かす、ベロをしっかりと出すという子ども達も楽しく続けられる体操のため導入する学校、施設が増えています。
あいうべ体操の効果
あいうべ体操を導入しインフルエンザを含む上気道感染症の罹患率が激減した、生徒の平均休校日数が減った、開口状態の児童が減った、短期間で舌圧(口腔機能評価に使用される)が増加したといった報告があります。また個々人においてもイビキが減った、医療機関への受診が減った、歯並びが良くなった、口臭が減った、便秘が改善したなどの声があります。
学校、施設での講演活動や、鼻呼吸啓発絵本(はないきおばけとくちいきおばけ:PHP出版)などを通して鼻呼吸、あいうべ体操の普及をしています。小児期に鼻呼吸の習慣を獲得することは、将来における疾病予防に繋がると考えられます。
今井一彰