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トップページ フォーラム EAT(上咽頭擦過療法) 上咽頭擦過療法の歴史について

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  • #445
    西脇 宜子西脇 宜子
    参加者

    病巣疾患研究会会員の皆様
    拝啓 
    失礼ながら始めてお手紙をさせて頂きます。娘(西脇宜子)から『今は上咽頭処置が話題』と聞きました。父(本橋)の話を研究会の皆様に聞かせたらいかがか、と提案されました。50年以上も昔の事ですが上咽頭処置について小生の知る処を記して見ます。
    私は昭和9年(1934年)生、現在88歳です。昭和33年(1958年)岩手医大を卒業しました。(新潟大学教授 鳥居啓二先生と岩手医大教授 金野 巌先生・共著の耳鼻咽喉科学教科書で学生時代を過ごしました。)未だ戦後でオージオメトリーは真空管使用で音叉などが使われました。

    入局後に檜学(ひのき まなぶ)先生が耳鼻科教授となりました。檜先生は「めまい」がご専門でしたので、耳鼻科処置については医局の先輩からの指導が主でした。
    先輩の先生から鼻の綿棒の使い方、咽頭捲綿子の曲がっている理由など、基本的な処置法を教え込まれました。
    特に上咽頭処置については、口蓋垂の裏、特に左右の耳管咽頭口(耳管周囲扁桃)と鼻中隔の後部を狙い塗布(擦る)するように指導されました。この処置の根拠については特に説明があったかは記憶していませんが、後鼻漏のある患者さんには好評でした。
    塗布液は当時医局ではマンデル氏液を使用し、ルゴール氏液やクロールチンク(塩化亜鉛)は使用していませんでした。
    開業してからもこの処置は続けていました。「のどをグリグリ塗る耳鼻科医」でした。蓄膿症などで後鼻漏の訴えの患者には『膿が通るところを塗るのでしみますよ。少し痛いですが後で軽くなりますよ』と話します。その痛みは当日には軽快し2回目には痛みは軽くなり回を重ねるにつれ症状は軽くなり、小生の診ている患者の中には2回の塗布を希望する患者が多くおります。10人の患者のうち9人は継続していますが残りの1人は最初の刺激で来院しない患者と思います。

    当院ではマンデル氏液は現在でも自家製です。ルゴール氏液よりも刺激が少なく、これは作成時に少量(数滴)のメントール(ハッカ油)を使用していまして塗布拒否は殆ど有りません。
    娘が診療を手伝う様になってから塩化亜鉛を取り入れました。しかし私は1967年に開業し、以来2018年、84歳で引退するまで50年以上マンデル氏液を塗布していました。現在、医院では処置において両方使用しているようです。

    耳鼻科は内科と異なり処置が主です。時代の流れで処置をする耳鼻科医が少なくなっております。この時代に上咽頭処置が話題になる事は嬉しくおもいます。

    当院で作成しているマンデル氏液の処方です。
    ヨウ化カリウム 8g
    ヨウ素 4g 5㏄の蒸留水で溶かす
    グリセリン500㏄のビンの中に入れ、ハッカ油 2~3滴を落とし、混ぜる。

    だらだらと昔を思いながら書きました。参考になれば幸いです。
    三島市東本町1-16-12 本橋耳鼻咽喉科医院  前院長  本橋弘行

    #446
    堀田 修堀田 修
    参加者

    西脇先生、貴重な、そして示唆に富む投稿ありがとうございます。

    東京医科歯科大学初代耳鼻咽喉科教授の堀口申作先生の門下である谷俊治先生、古屋英彦先生から半世紀以上前の上咽頭擦過療法(EAT)の黎明期について貴重なお話を伺う機会がこれまでにありました。そして、この黎明期時代の業績が今日再興しつつあるEATの礎となっております。これも、先生のお父様である本橋弘行先生をはじめ、その時代にEATに関わりになられた先達の先生方のお陰であることは言うまでもありません。また、東京医科歯科大とは別の大学病院で塩化亜鉛とは異なる薬液であるマンデル氏液を用いてEATが実施されていたことは大変興味深いです。
    EATにおいて最も重要な要素は擦過であると感じておりますが、病態によって最適な薬液を使い分けるという柔軟な発想もこれから必要なのかも知れませんね。

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