JFIR広場

#272
西脇 宜子西脇 宜子
参加者

    田中亜矢樹先生の指摘のとおり、EAT回数は原疾患によって違う。
    後鼻漏など自覚症状が主体となる疾患では症状軽快・増悪により継続加療するケースが多い。
    当院では頻度としては10回程度をまず提案する。治療評価するまでの一定の目安とした私自身が提示する「ものさし」である。しかしその「ものさし」は患者さんの症状改善程度や通院環境などにより「通院可能な範囲」という変則的な「ものさし」に変わってしまう。
    当院受診患者から多く聞いた言葉を引用する。
    「自分の慢性上咽頭炎による悩ましい症状に対して、痛い治療のために遠くに通う。これがどんなに大変だったか。今では(EAT治療する当院が近くにあると知ったことにより)近くで自分が行きたいときにEATをしてもらい、症状が改善してくる。」
    患者にとっては、自覚症状に対しても通院に対してもこれら精神的なストレスが患者に相当強く、EATの効果、つまり自覚症状の改善に影響していると思われる。また病脳期間が長い人ほど、当然であるが精神的ストレスの影響が強い。患者としては完治も目指したいが、「増悪させない」という考え方でEATを受けていると思う。
    つまりこのような「精神心理的な要素がEAT頻度に影響する」と私は意見する。

    これらをどのように評価したらよいのであろうか。頻度の評価は難しいのではないかとも思う。と同時に耳鼻咽喉科医にとって慢性上咽頭炎およびEATに対する一定のコンセンサスが必要であると感じる。
    今後、回数の評価を含めたEAT施行の標準化について仮説をたてて検証するなどまだまだ討論の必要があると思われる。
    診療所は新型コロナウイルス感染症の感染予防策をしながらEATを施行している。咳込みやむせなどを伴うEAT。増える回数については非常に現場としては悩ましい。「新しい生活様式にあったEAT」も考えなくてはならない。悩みながら施行している一現場の声として投稿する。西脇宜子

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