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フォーラムへの返信

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  • 返信先: 若年性皮膚筋炎 #462
    TANAKA AYAKIAYAKI TANAKA
    参加者

      長野智弘様。
      投稿ありがとうございました。JFIR理事の田中耳鼻咽喉科の田中亜矢樹と申します。
      フゾバクテリウム属、特にフゾバクテリウム・ネクロフォーラムはKiller sore throat(致死的な咽頭痛)と呼ばれるレミエール症候群を引き起こすことが知られています。
      息子さんの場合、フソバクテリウム・ヌクレアタムが歯科領域で検出されたとのことですが、そもそもがフゾバクテリウム属は嫌気性菌ですので、通常の好気性環境で細菌培養検査の検体を採取しても嫌気性培養を行なわない限りフゾバクテリウム属の検出は一般の外来(耳鼻咽喉科領域でも歯科領域でも)では検出は困難ではないかと思います。
      私の専門である耳鼻咽喉科領域では口蓋扁桃に留まる普通の急性口蓋扁桃炎では好気性環境(好気性培養)でフゾバクテリウム属が検出されることはほとんどありません。ただ急性口蓋扁桃炎から扁桃周囲膿瘍に発展した場合には、膿瘍を注射針で穿刺して嫌気培養をおこなうとフゾバクテリウム・ネクロフォーラムを検出することは時にあり得ることです。
      以下リンクを貼ります。
      このサイトには国立国際医療センターの早川佳代子先生の報告です。
      論旨を要約すると、口蓋扁桃炎におけるフゾバクテリウム・ネクロフォーラムの関与はこの検討では溶連菌並みの10%程度に認められ、従来の報告よりも過小評価されている可能性があり得ると思います。
      私見では繰り返しになりますが、嫌気培養を必要とするために実臨床では検出率が低く過小評価されているのかもしれないと考えます。
      扁桃処置など口蓋扁桃の陰窩(腺窩、との古くはいいます)を咽頭捲綿子で圧迫して排膿することでいわゆる「臭い玉」を排膿することは多くあります。これも私見ですが、嫌気性菌感染は好気性菌よりも一般に「くさい(臭い)」ので、想像ではありますが、息子さんの場合には証明は困難ではあるものの口蓋扁桃にフゾバクテリウム・ネクロフォーラムやソバクテリウム・ヌクレアタムなどが潜在的に持続感染を起こしている可能性もあり得るのではないかと考えます。
      なにがしかのお役に立てる情報であれば幸いです。

      http://xn--https-lv2jt74l//kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-26870883/268708832014hokoku/#:~:text=%E8%BF%91%E5%B9%B4%E3%80%81%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E3%82%88%E3%82%8A%E3%83%95%E3%82%BD%E3%83%90%E3%82%AF%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%8D%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A0%EF%BC%88%EF%BC%A6%EF%BC%AE%E8%8F%8C%EF%BC%89%E3%81%8C%E9%9D%92%E5%A3%AE%E5%B9%B4%E5%92%BD%E9%A0%AD%E7%82%8E%E3%81%AE%E8%B5%B7%E5%9B%A0%E8%8F%8C%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%80%81%E6%BA%B6%E9%80%A3%E8%8F%8C%E3%81%A8%E5%90%8C%E7%AD%89%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%AB%E8%AA%8D%E3%82%81%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E5%A0%B1%E5%91%8A%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%80%82,%E3%81%93%E3%82%8C%E3%82%89%E3%81%AE%E5%A0%B1%E5%91%8A%E3%81%A8%E5%9B%BD%E5%86%85%E3%81%AE%E8%87%AA%E9%A8%93%E4%BE%8B%E3%81%8B%E3%82%89%E9%91%91%E3%81%BF%E3%82%8B%E3%81%AB%E3%80%81%E6%9C%AC%E9%82%A6%E3%81%A7%E3%82%82%E9%9D%92%E5%A3%AE%E5%B9%B4%E5%92%BD%E9%A0%AD%E7%82%8E%E4%BE%8B%E3%81%AE%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%85%E3%81%8C%EF%BC%A6%EF%BC%AE%E8%8F%8C%E3%82%92%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E8%8F%8C%E3%81%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%A8%E6%8E%A8%E5%AE%9A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82

      TANAKA AYAKIAYAKI TANAKA
      参加者

        西憲佑先生。貴重なご報告を誠にありがとうございます。EATによって経時的白色化現象が生じることは、すでに論文化されておりますが、EAT前後の組織学的検討についてはおそらくほかに例を見ない重要な示唆を含む報告だと思います。EATによって粘膜上皮下にリンパ球、好酸球、好中球が認められなくなり、扁平上皮化生を起こしていることがよくわかります。EATの抗炎症作用が病理組織学的にも証明されており、素晴らしい着眼点だと思います。地方部会でのご発表にとどまらず、口腔咽頭科学会や日耳鼻総会などでのご報告にも期待しております。引き続きよろしくお願いいたします。
        田中亜矢樹

        TANAKA AYAKIAYAKI TANAKA
        参加者

          HANS6の6は引用文献の番号で、削除を忘れてしまったものですので、意味はありません。正しくはもちろんHANSです。

          TANAKA AYAKIAYAKI TANAKA
          参加者

            澤田石順先生、今井一彰先生

            貴重なご意見と論文などありがとうございます。JFIR理事の田中耳鼻咽喉科の田中亜矢樹です。先生もご承知かと思われますが、
            Long COVIDとME/CFSの関連については、AMEDのME/CFS研究班の山村隆先生も日経メディカルの記事の中でもご発言されています。
            先生にご紹介いただいた論文はまたゆっくり拝読させていただきたいと思います。
            私自身、2019年の第15回日本疲労学会でのME/CFSシンポジウム2(2019年5月19日)で「上咽頭擦過療法EATのME/CFSにおける有用性とその作用機序仮説」についてシンポジストを務めました。
            総説論文は査読中です。
            https://site2.convention.co.jp/hirou2019/program/program.pdf
            慢性上咽頭炎、ME/CFS、Long COVIDはそれぞれ未解明ですが、相互に何らかの関連性を持っていると推察されます。
            また嗅上皮の支持細胞にACE2受容体が存在するために、COVIDで嗅覚障害がおこるこことは流行の比較的早期から耳鼻咽喉科領域では問題になっていました。現在でも嗅覚障害の検査治療については、COVID以前と比べても試行錯誤が続いているのが現状です。

            堀田先生や今井先生との共著論文、HPVワクチン副反応後のFSS(機能性身体症候群)に対するEATの効果についての論文は既に掲載されていますが、ある種の薬剤で「鼻咽頭炎」の副作用が報告されているのは興味深いところです。
            以下、2021年7月号(未発売)の日本臨牀特集号で私が執筆担当した「慢性上咽頭炎」の稿から一部抜粋して記します。
            「2016年の段階で医中誌WEBで検索すると200種を超える薬剤において「鼻咽頭炎」の副作用の記載があり、PubMedでの検索でも「Nasopharyngitis」の副作用の記載がある薬剤は同様に多数にのぼる。薬剤としては抗悪性腫瘍薬、抗リウマチ薬、糖尿病治療薬、造血薬、抗認知症薬、抗てんかん薬、抗ウイルス薬(抗B型肝炎薬、抗C型肝炎薬)、ロタウイルスワクチンなどが挙げられ、分子標的薬などが散見される。既にHPVワクチン副反応によるHANS6(HPV vaccsination-associated neuro-immunopathic syndrome)という機能性身体症候群(FSS:functional somatic syndrome )におけるEATの効果について報告(田中注:Immunol。Res.とJ of Antivirals&Antiretroviralsです)しており、ワクチンや抗体製剤(免疫賦活薬)による上咽頭のリンパ組織刺激、アジュバントを介したASIA(Autoimmune/inflammatory syndrome induced by adjuvants)の一表現型としての慢性上咽頭炎発症といった機序が考えられる。」というものです。

            先生のお示しいただいた「鍵となる事実は脳室周囲器官には血液脳関門がないこと」というお言葉には非常に多くの示唆が含まれているように思われます。
            仮に上述のように何らかの薬剤(経口薬や注射薬いずれでも)が鼻咽頭炎を引き起こすとしたら、その経路には脳室周囲器官の血液脳関門が無い部分からの侵入が想像されますし、SARS-COV-2のウイルス自体、ないしはウイルス感染によってもたらされたサイトカインなどの侵入経路は此処から始まるのかもしれません。

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            返信先: 週刊女性の記事 #384
            TANAKA AYAKIAYAKI TANAKA
            参加者

              鷲尾有司先生は、大阪市大耳鼻咽喉科の後輩の先生です。耳鼻咽喉科専門医であり、日本アレルギー学会認定専門医でもあります。
              大阪市大耳鼻咽喉科で私とともにアレルギー研究に従事されていた先生です。
              兵庫県西宮市で耳鼻咽喉科医院を開業されています。

              返信先: IgA腎症 #258
              TANAKA AYAKIAYAKI TANAKA
              参加者

                堀田先生、茂木立先生、金子先生。こんにちは!
                当院に一度でもIgA腎症治療を目的に来院された患者さんは、400例前後だと思います。平成28年の日本口腔・咽頭科学会での一般演題で、EATがIgA腎症に著効した一例を報告しました。IgA腎症と診断されてから1か月で当科来院し、4か月のEATで寛解し、扁摘パルス目的に入院した時点ですでに血尿消退していました。その病院の腎臓内科から堀田先生に相談があり、「パルスは不要だが扁桃摘出は行うべき」とのことで、結局扁摘を行いパルスは行いませんでした。EATのIgA腎症における有用性を統計学的に証明することは、IgA腎症のもともとの罹病期間や重症度など変数が多く、IgA腎症の病期や病状を評価できる腎臓内科医以外には難しいように感じています。
                私自身は現時点でのIgA腎症におけるEATの位置づけは、
                ・血尿消退を目標とする
                ・標準的治療(扁桃摘出術+ステロイドパルスなど)を受ける前にも行いうる治療である
                ・標準的治療を受けてもなお寛解しない場合にも行いうる治療である
                ・何らかの理由(全身麻酔を行えない呼吸器疾患があるなど)で扁摘が行えない場合にも施行できる治療である
                という考えです。
                その点、先生方のご意見はいかがでしょうか?

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