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トップページ フォーラム 口腔機能と全身 舌ストレスと全身症状の関連性

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    吉田 律樹JFIR 事務局
    キーマスター

      安藤正之 医療法人社団健幸会安藤歯科クリニック
      東京都中野区東中野4-6-2アペルト東中野ビル2階
      TEL03-3362-6480
      FAX03-3362-5582
      e-mail: andou@kenkoukai.com

       

      はじめに

      現代において、多くの現代人は、昔はなかったであろう“現代病”に悩まされているといえる。

      例えば、体の不調を訴える男女50歳以上の「有訴者」の割合は、30%を超え、その中で「肩こり」・「腰痛」は、有訴者の中での2大疾患である。(平成 28 年 国民生活基礎調査の概況)

      また、歯科における“顎関節症”の何らかの症状がみられる患者数は、推定1900万人といわれている。(平成28年歯科疾患実態調査)

      そして、「自律神経失調症」は、診断された患者だけで65万人で、潜在的な患者数は650万人といわれ、ストレスの原因は多岐に渡ると考えられている。

      これら現代病の、一見別々にみえる症状に、口腔における特殊な骨格筋である「舌」が、共通して関係していたとしたらどうだろうか?
      現代人のほとんどは、歯列が狭窄してしまった結果、舌に歯の跡(歯牙圧痕)がついている人がかなりの割合でいる。

      本稿では、「舌圧痕」と不定愁訴の関連について検討したので、それについて述べてみたい。

       

      現代人の歯列の分類法 測定基準

       

      安藤歯科クリニックにおいて、2011年9月から2018年4月までの間に、不定愁訴改善の目的で咬合治療を受けた患者351名の中から、28本の完成歯列を有する239人の口腔模型を測定し、舌房の大きさを調べるために、歯列幅を測定した。

      被験者の男女比は男性98名、女性141名の、10代から70代までの239人である。

      (図1、図2)

       

      また、修復物・補綴物の有無は不問とした。
      今回は、男女の平均値の差を考慮して、スケールの基準値を、男女別に決定した。
      ただし、最狭小歯列に分類された62人においては、計測値が男女ほぼ同じ値であったため、男女とも同じ基準値を採用した。
      その際の、測定基準となる計測点は、以下の通り。

       

      a:下顎第二大臼歯遠心舌側咬頭頂間距離47-37   

      b下顎第一大臼歯遠心舌側咬頭頂間距離46-3 

      c下顎第一小臼歯舌側咬頭頂間距離45-3 

      d下顎第二小臼歯舌側咬頭頂間距離44-3 

      Federation Dental International歯式による    表1

       

      歯牙が捻転(回転)している場合でも、測定は舌側咬頭頂間とし、あくまで舌房を確保できる幅の測定を行った。

       

      測定の結果

      測定の結果、最も大きなアーチを、ヒューマンスケールⅠ型、歯列が狭窄したV字歯列がドッグスケールⅡ型、更に狭窄し、U字列、もしくはひょうたん型のものを、チンパンジースケールⅢ型と3型に分類した。

      その基準値と割合を、表2表3に示す。

       

      測定結果

      表2スケール別測定結果結果からの分類

      表3 各スケール分類

       

      測定結果による各スケール分類

      ヒューマンスケールⅠ型は、男性7.1%、女性7.1%。

      ドッグスケールⅡ型は、男性80.6%、女性59.6%。

      チンパンジースケールⅢ型は、男性12.2%、女性33.3%。

      代表的な例を図4,5,6に示す。

       

      図4 ヒューマンスケールⅠ型 代表的な例

      図5 ドッグスケールⅡ型 代表的な例

      図6 チンパンジースケールⅢ型 代表的な例

        

      治療方法

      舌に刺激を与えている、当該歯の舌側咬頭外斜面及びover contourを、エナメル質のみを0.4mm程度削去した。

      また、特に舌側咬頭の歯牙鋭縁を0.2ミリ程度丸め、最後に0.1ミリ程度の咬合調整を行った。

      その前後における不定愁訴の改善率の有意差は、表4-1、2に示した。

        

      治療結果から見る有意差

       

      各スケールによって有訴率に有意差が出た。
      図3のグラフは、患者さんに治療前と治療後に記入してもらった、不定愁訴アンケートに点数をつけて(◎4点、○2点△1点記入なし0点)、集計したものである。

      いつも強い自覚症状があり、生活に困難を生じているものを、◎で印記し、4点とした。

      また、いつも症状を感じてはいるが、生活に支障が出るほどではないものを〇で印記し、2点とした。

      時々感じるものは、△で印記してもらい、1点とした。

      症状を感じたことがないものは、無記入とし、0点とした。
      スケール別治療前・治療後の点数を集計し、被験者数で割ったのが、図3のグラフである。

      治療前のグラフが高いほど、有訴率が高く、治療後のグラフが低いほど、改善率が著効であるといえる。

      症状別についての考察を以下に述べる。

       

      1.顎関節症3兆候「アゴの関節が痛い・アゴの関節が鳴る・口が開きにくい」と「歯ぎしり」「くいしばり」について

      各症状のスケール別有訴率は、明らかにⅠ型よりⅡ型Ⅲ型が多く、“舌の刺激”が増悪因子となっていることが推測できた。
      239人の治療前・後を集計した改善率(表4-1合算)で見ると、「顎関節痛80.4%」「開口時音69.4%」「開口障害87.5%」、「歯ぎしり92.7%)」「くいしばり91.0%」と、比較的高い改善率を示している。

      スケール別改善率では(表4-1)、ヒューマン1型において「顎関節痛100%」「開口障害100%」、「歯ぎしり100%」「くいしばり100%」などの著効が認められた。

       

      2.「首のコリ」「肩こり」「腰痛」について

      各症状とも、スケール別有訴率においてあまり有意差はなく、全体で高い有訴があることが図7-ABCにおいて認められる。
      全体の改善率(表4-1合算)は、「肩こり80.1%」「首のコリ86.7%」「腰痛78.1%」であり、首のコリの改善率が最もよかった。

      またスケール別改善率においては、ヒューマンⅠ型よりも、ドッグⅡ型やチンパンジーⅢ型の方が高いことが示された(表4-1)。

       

      3.自律神経失調症状について

      改善率は、「偏頭痛86.3%」「手足のしびれ64.4%」「めまい73.5%」「耳鳴り68:4%」「便秘58.9%」「下痢73.3%」「無気力82.4%」「体がだるい68.5%」で、「偏頭痛」と「無気力」が最も改善率は高かった(表4-1)。

      またスケール別では、「偏頭痛」と「無気力」は、ヒューマンⅠ型よりも、ドッグⅡ型やチンパンジーⅢ型の方が改善率が高かった(表4-1)。

       

        

      考察

      本稿では、現代病といわれる症状と、“舌の緊張”との関連について評価しているが、筆者本人も驚いたのが、ヒューマンⅠ型が男女とも7.1%しかいなかったという事実である。

      今まで歯科で主に研究されてきたのは,歯の高さを調整する“咬合”であった。
      これは咬合時に、歯が均等に当たるのではなく、咀嚼不足や歯科の補綴物などで生じた、わずかなずれが、下顎位を偏位させ、顎関節症や頭頚部の筋肉に緊張を生むことで、不定愁訴を引き起こしたことに対する評価である。

      今回は、従来の“咬合”とともに、“舌ストレス”を加えた、2つの要因から各症状について考察してみたい。

       

      1.顎関節症3兆候「アゴの関節が痛い・アゴの関節が鳴る・口が開きにくい」と「歯ぎしり」「くいしばり」について

      「アゴの関節が痛い・アゴの関節が鳴る・口が開きにくい」および「歯ぎしり」「くいしばり」についての改善率を比較すると(表4-1)、ヒューマンⅠ型の改善率が極めて著効であるため、これらの主原因は “咬合の高さ(咬頭干渉を含む)”であることが示唆された。

      しかし、ドッグⅡ型やチンパンジーⅢ型など、歯列が狭小になるにつれ、有訴者が多くなり(図7-ABC)、改善率も低下することから、主原因は“咬合”であるが、舌圧痕が原因で起こる“舌ストレス”(以後は舌ストレスと表記)が症状を増悪させ、難治性にしていることが、治療結果の全体像から明らかになった。

       

      2.「首のコリ」「肩こり」「腰痛」について

      改善率は、「肩こり」「首のコリ」「腰痛」の中で、「首のコリ86.7%」の改善率が最もよかった(表4-1合算)。
      これは、「首のコリ」の主な原因の筋肉の一つである“胸鎖乳突筋”の起始部が、顎関節がある側頭骨乳様突起にあることで、間接的ではあるが、多大なる関連があるものと推測される。

      またスケール別での比較では、有訴率は各スケールとも同程度であったが(図7-ABC)、改善率においては、ヒューマンⅠ型よりも、ドッグⅡ型やチンパンジーⅢ型の方が高いことが示された(表4-1)。

      以上から、「首のコリ」「肩こり」「腰痛」の原因は、 “咬合”よりも“舌ストレス”が主原因であることが示唆された。

       

      3.自律神経失調症状について

      全スケールの改善率では、「偏頭痛」「手足のしびれ」「めまい」「耳鳴り」「便秘」「下痢」「無気力」「体がだるい」の中で、「偏頭痛86.3%」と「無気力82.4%」が最も改善率は高かった(表4-1合算)。
      自律神経失調症の各症状の改善率からは、“咬合”と“舌ストレス”が、自律神経失調症にも、一定の影響を及ぼしていることは明らかである(表4-1、図7-ABC)。

      特にⅡ型やⅢ型で改善率の高かった「偏頭痛」と「無気力」に関しては、 “咬合(歯の高さの問題)”よりも、“舌のストレス”がより大きな誘因であることが推測された。
      これは、“舌ストレス”があることで、現代人は24時間365日、舌は歯の刺激にさらされ、その結果、慢性的な刺激が不快をもたらし、交感神経優位な状態が続くことが原因であると推測された。

       

       

       

      結論と課題

      顎骨や歯列の拡大に不可欠である、咀嚼回数は、卑弥呼の時代は1回の食事で3990回、現代人は600回との実験結果が出ているが(参考文献11)、筆者が独自に安藤歯科スタッフ5名(女性平均年齢35歳)で調査したところ、平均300回という結果が出た。(私信 表5)
      狭小な歯列を持つ割合が増えているのは、軟食による「咀嚼回数の減少」と「遺伝」の双方が原因ではないかと筆者は考える。

      今後、咀嚼回数を増やす“食育“の重要性が増すと思うが、「狭小の顎」は遺伝するため、食育のみならず、顎骨がまだ完成していない、幼少期の歯科の介入は不可欠ではないだろうか。

      筆者は「舌圧痕」を、現代人特有の舌の緊張による「舌ストレス」と名付け、その結果惹起される、様々な症状を「舌ストレス症候群(Tongue Stress Syndrome略してT・S・S)と命名した。

      これらは、歯だけでなく、「舌」に配慮した咬合調整・および矯正治療を行うことで、患者の不定愁訴や自律神経失調症を大幅に緩和することができ、細菌性ではない第二の医科歯科連携が生まれることが期待できる。

      今後、歯科界に「舌ストレス」の考え方が広まり、歯科医師が不定愁訴を改善することが当たり前の世の中になり、人生100年時代に、医科とともに歯科が、大きく貢献できることを、未来の夢として託したい。

       

      謝辞

      まず、同じ志と目的を共有し、日本病巣研究会に入会するきっかけをくださった、松川公洋先生に、心より感謝いたします。

      そして、いつも貴重なアドバイスをくださる、東京歯科大学生理学教室の渋川義幸教授に、心より感謝いたします。

      最後に、このような機会をくださった、日本病巣研究会会長の堀田修先生に、心より感謝いたします。

      参考文献

       

      1)安藤正之:人は口から死んでいく、自由国民社,2018.

      2)安藤正之:原因不明の体の不調は舌ストレスだった、かざひの文庫、2019.

      3)根来武史:子ども達の歯列・アゴに何が起こっているのか~下顎第二大臼歯の放出障害について~、日本歯科医師会雑誌73(4):4~16、2020.

      4)馬場悠男・金澤英作:「顔」を科学する!多角度から迫る顔の秘密、ニュートンプレス, 1999.

      5)森田匠、藤原琢也、高須寛貴、他:長期の粉末飼料がウサギ咬筋筋線維に与える影響―粉末飼料咀嚼時の咀嚼運動との比較による考察=、Ortho Waves-Jpn Ed-72(1):25~33, 2013.

      6)日本顎咬合学会編:咬み合わせが人生を変える、小学館、2013.

      7)上田 実著:咬むことと脳の動き、デンタルフォーラム、2000.

      8)金澤英作他編:歯科に役立つ人類学、わかば出版, 2010.

      9)原島 博、馬場悠男:人の顔を変えたのは何か,河出書房新社, 1996.

      10)金澤英作:日本人の歯とそのルーツ]、わかば出版, 2011.

      11)斎藤滋:よく噛んで食べる 忘れ去られた究極の健康法、生活人新書、2005.

      12) Saito K, Morita T, Takasu H, Kuroki K, Fujiwara T, Hiraba K, Goto S ,et al: Histochemical study of rabbit medial pterygoid muscle during postnatal development.

      .Odontology. 2017 Apr;105(2):141-149. doi: 10.1007/s10266-016-0262-5. Epub 2016 Jul 25.

      13)Hiroki Takasu1Tomoko MatsunagaTakumi Morita3Katsunari Hiraba2Kozue Kuroki1Keisuke Saito1Takuya Fujiwara1, el at: Changes in masseter muscle fibers by liquid diet rearing in rabbits and recovery by chewing of solid diet, Arch Oral Biol ,108:104548,2019.

       

      表4―1 各スケール別不定愁訴改善率の比較

      表4―2 各スケール別不定愁訴改善率の比較

      表5 安藤歯科スタッフによる1回の食事の平均咀嚼回数(朝昼晩1週間測定)

      図7-A ヒューマンⅠ型の治療前後のアンケート比較 青:治療前 赤:治療後

      図7-BドッグⅡ型のの治療前後のアンケート比較 青:治療前 赤:治療後

      図7-C チンパンジーⅢ型のの治療前後のアンケート比較 青:治療前 赤:治療後

       

      安藤正之

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      #278
      堀田 修堀田 修
      参加者

        小児期に歯ごたえのあるものをよく噛んで食べさせることの重要さが良く分かりました。ありがとうございます。
        また日常診療で「舌の圧痕」をしっかり観察する必要があるということですね。

        二点教えて下さい。

        1.「口腔内、特に舌がベトベトする」という訴えの患者さんの治療は難渋します。これらの患者さんの多くは口腔内カンジダなどの治療はすでに受けていますが効果なしです。大学病院などを受診しても改善せず、藁をもつかむ思いでEATを希望して受診される患者さんが少なからずおられます。EATで他の自律神経症状は改善するのですが、見た目に異常がなくてもこの舌のベトベト感だけは難治です。舌過敏、ストレスの視点から何かヒントがありましたらご教授ください。

        2.当院の外来患者さんは中高年の方が多いのですが、歯科矯正以外の方法として舌先を上顎に押し付けるような訓練(意識)や舌の体操などで舌ストレスの改善は期待出来るのでしょうか?

        #286
        酒井 秀俊酒井 秀俊
        参加者

          当院のアプローチ法
          舌等口腔何組織のベタベタ感は口腔セネストパチーが疑われます。
          この分野では現在は東京医科歯科大の専門外来がスタンダード治療のモデルとなっていると思われます。

          http://www.tmd.ac.jp/grad/ompm/2007_3.pdf
           
          当院ではこのスタンダード治療での難渋例や
          治療持続困難、薬物治療忌避となった患者に対しては

          ①AKA博田法+藤井佳郎式咬合治療
          ②歯性病巣感染治療(特に根尖病巣治療)
          ③アマルガム、パラジウム等の歯科重金属除去
          ④EAT依頼または、鼻うがい
          ⑤漢方
          の組合せ併用で一定の効果〜有効的改善が散見されます。
          しかし尚且つ治療抵抗性や不変例も少なくなく口腔異常感症等の歯科心身症には手を焼いている印象があります。
          やはり歯科も含めて複数科連携の必要性を感じます。

          #309
          安藤 正之安藤 正之
          参加者

            堀田修先生、ご質問を頂き、ありがとうございます。
            食育はとても大切なのですが、狭小の歯列は遺伝します。そして、すでに3世代間で遺伝していることを考えると、食育のみならず、12歳までに、歯科医師が顎骨拡大のために、何らかの介入をすることは不可欠ではないかと考えております。
            では、先生の質問に、分かる範囲でお答えさせていただきます。

            1.申し訳ありませんが、「舌のベトベト感」については、私の研究対象外です。
            当院の患者さんの主な主訴は、「顎関節症」「不定愁訴」「舌痛症」「発声・滑舌不良」などで、「ベトベト感」で来院する方がいらっしゃらないためです。
            なので、酒井秀俊先生の、貴重なご意見に感謝いたします。

            2.結論から申し上げますと、舌運動での舌ストレス緩和は無理だと思われます。

            歯の痕である歯痕(舌ストレス)が、舌の影響を与えているのは、随意時と不随意時の両方、つまり365日24時間継続しての刺激だと思われます。
            発声・滑舌障害は、随意時・不随意時の影響であり、“舌偏位→下顎偏位→筋肉の緊張の伝播→顎関節症・不定愁訴の発現”は不随意時の影響だと、私は考えております。
            また、歯が舌を刺激している“歯痕”の影響は、舌表面を支配する三叉神経(舌神経)と、中の舌筋を支配する運動神経である舌下神経の両方に影響を与えていると推測されます。
            この継続した慢性刺激が、交感神経を優位にし、諸症状を引き起こしているとも考えられます。
            以上のことから、外的要因を取り除かない限り、舌の運動で不良刺激を緩和させる方法はないと、私は考えております。

            歯科矯正以外の解決法としては、舌側に傾斜した歯牙のするどい鋭縁を、ほんの少し丸めてあげるだけでも、舌ストレスは大幅に緩和します。
            なので、舌ストレス症候群を世に広め、舌ストレス緩和療法のできる歯科医師を育てることが、私の急務だと考えております。

            #310
            堀田 修堀田 修
            参加者

              安藤先生

              そうですか。舌ストレスを改善するために、私が推奨している舌の運動は残念ながら効果がなさそうですが、歯を少し削るだけでも効果がある場合があるのですね。
              私は門外漢ですが「歯をちょっと削るだけで、全身症状が劇的に改善する」というまぎれもない事実をこれまで二度経験しています。第一回目は私の前の職場であるJCHO仙台病院(旧仙台社会保険病院)での神戸の藤井先生の実技、そして二度目は当院HOCでの宅重先生の歯科治療と、いずれも私自身の患者さんを通じてです。理屈ではなくやはり実学は説得力がありますね。
              このJFIR広場が医学部では絶対に全く学ぶことのない、歯をちょっと削ることによる全身へ影響を学んだり、意見交換をしたりする機会となりますことを期待しています。

              #311
              酒井 秀俊酒井 秀俊
              参加者

                堀田修先生
                堀田先生のご厚意で旧仙台社会保険病院にお招き頂いたこと、今でも心より感謝しております。
                おっしゃる通り「歯をほんのちょっと削ることの全身への影響」は藤井佳郎式咬合治療の真髄の治療法です。
                約15年間医科医院も含め自他医院でこの治療の即効的効果を経験してきました。

                本会にて、医科歯科連携して、この作用機序の解明や一般医師も納得できる検査法の
                確立がされることを期待しております。

                安藤先生
                これからもご教示のほど宜しくお願いします。

                #314
                安藤 正之安藤 正之
                参加者

                  堀田先生、返信ありがとうございます。
                  私自身、30年前からAKテクニックの脇山先生より、O-リングテストを学び、咬合調整による体調改善を行ってまいりました。
                  咬合調整とは、いわば、タテの調整です。
                  主に、タテの高さ(咬合高径といいます)と、横揺れ(歯ぎしり)時の干渉を調整します。
                  しかし、効果としては、著効の方もかなりいらっしゃるのですが、あまり効果のないグループの方もいらっしゃいました。
                  研究を始めて約15年間は、歯を見て、歯の調整を積み重ねてまいりましたが、15年ほど前に、これは舌が関係しているのではないかと気づいたのです。
                  これは、患者さんの模型を並べて見比べているときに、アーチの大きさがバラバラなのを見て、ふと思いました。
                  舌は、舌ストレスがあると、それを避け、その結果“舌の位置異常”が起こります。
                  下顎は厳密にいえば、関節はせず、遊離骨のため、舌の位置異常は即“下顎の位置異常(偏位)”を起こします。
                  これは、ヨコの問題だと言えます。
                  口腔は、舌を含めた上で、タテ、ヨコ、奥行きの3つの観点で診る必要があると思います。
                  私も、今後は“非感染性”の医科歯科連携が進むことを、心より期待しております。

                  #315
                  安藤 正之安藤 正之
                  参加者

                    追記···
                    下顎骨は、顎関節にて上顎と関節しておりますが、普段は上下の歯が約2ミリ空いております。
                    これを、安静位空隙といい、この時の顎位は空中に浮いていて、4つの咀嚼筋群でぶら下がっている状態です。
                    食事で噛んでいるとき以外は、この状態なので、1日のうち約23時間30分は、安静位と言えます。
                    実は、この安静時の下顎位については、歯科界でも、今まであまり議論されてきませんでした。
                    浮遊している状態なので、計測も難しかったと思います。
                    しかし、「舌」がなぜ重要か、の答えがここにあります。
                    なので、下顎骨は関節はしているのですが、安静時には、わずかに空中に遊離している状態だということ。
                    その時の下顎位を決定するのは「歯」ではなく「舌」なので、舌の状態を考慮することが重要であることを、お伝えしたく、追加説明をさせていただきました。

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